バリスタであれば一度は目にしたことがあるはずのEK43/EK43S。その人気の理由と使用上の注意、取扱説明書のリンク、価格情報をご紹介します
WBC、WBrC公式グラインダー
ワールドバリスタチャンピオンシップ、ワールドブリュワーズカップ、両方ともエスプレッソ、コーヒーに関する最高峰の世界選手権ですが、両方の公式グラインダーはEK43/EK43Sです。
基本的にグラインダーに関しては持ち込みが許されていますが、
各選手自分のEK43を会場に持ち込んて競技会に臨むことが普通です。
そのくらいEK43でしか、出せない味、香りがあり、その能力に世界中が魅了されています。
2011年バリスタチャンピオンシップにて脚光を得た!
そもそも、なんでこんなに人気なったかというと、
2011年のWBCにして「Matt Perger」がEK43を使用したことがきっかけになります。
そしてMatt Pergerが分析したEK43とエスプレッソグラインダーとの粒度分布の
比較と考察によって世界的に特異な性質を持つグラインダーだと認知されました。
それ以後、それまではただのショップグラインダーだったEK43が
ドリップ用はもちろん、使用しずらいエスプレッソ用途でも使用されることが多くなり
今の地位にいたりました。
どんな性質があったのかは後述します。
https://baristahustle.com/blog/the-ek43-part-one/
超有名なMatt PergerによるEK43に関する考察記事、その①です。記事は、その③まであり、エスプレッソグラインダーと粒度分布の違いや、グラインダー径の違いの考察は、読んでいて面白いです。それ以降、粒度分布が抽出効率にどう影響するのか、という議論が一般的にされるようになった、歴史的な記事です。
評価されるポイント
粒度分布が絶妙にいい
勘違いされている方もいらっしゃいますが、
EK43は決して粒ぞろいのいい、一般的に「粒度分布の精度が高い」グラインダーでは決してありません。
上の図は各エスプレッソグラインダーとEK43の粒度分布を比較した図になります。
EK43は青い線ですが、ピークは他のグラインダーと比べてもシャープではありません。
(最もシャープなのは、エスプレッソグラインダーのK30)
じゃあ、何がEK43のいいポイントなのかというと、
絶妙なバランスで、様々な粒度のコーヒーが混ざっていて、ちょうどいい抽出効率を再現してくれる点にあります。
粒のサイズが、50μm、100μm、200μmの部分に山ができていますが、それぞれの割合が
他のグラインダーと比べると”絶妙なバランス”で違うということなのです。
粒の大きさごとに抽出効率は異なり、全体として18%~22%の抽出効率を達成することが最も良いとされていますが、EK43はそれを天然でやってしまっているという強みなのです。
なんでそんなことができるようになったのかというと。。。
それはメーカーでもわからないとのことです。
おそらく絶妙なバランスでグラインド刃を設計したという話になると思います。
グラインダー内部にコーヒー粉が残らない
粒度分布がいいことと、同じくらい評価されているのは、グラインダー内部にコーヒーがあまり残らない点です。
実際にコーヒーを挽いてみると、測る前と後の差は0.1g以下です。
メーカーの公称値ではないので、100パーセント鵜呑みにされるとツライですが、感覚としてほぼ豆残りはないです。
ちなみに豆残りが少ない理由は垂直方向に配置されているフラットディスク刃と、精度のは高い刃の研磨にあります。
デザインが秀逸
粒度分布の良さと豆残りの少なさは、このデザイン性から来ています。
モーターに、ディスク刃、ポッパーと単純な構造ですが、単純なデザインだからこそ、長く愛されているのだと思います。
EK43とEK43sの違い
基本的にはサイズの違いのみです。
サイズの違いをまとめました。高さが異なるだけです。デフォルトのポッパー容量も異なりますが、ホッパーに関しては互換性があるため、使い方に応じて使えます。EK43とEK43sはコーヒー粉が出てくるところと足までの距離が違うだけです。
使用前に確認してほしい点
EK43は古いグラインダーです。そしていま使用されている用途では設計デザインがされていないため、すこし使い勝手が悪いです。
しかしそこは、使う側の工夫で対処する必要があります。
オペレーションを考えたうえでのサイズ選択
出典 : www.perfectdailygrind.com
まずはサイズです。今の流行りは一杯ずつ挽いて提供するスタイルだと思います。
しかしそれをするためには毎回ポッパーにコーヒー豆をいれる必要があります。
そこで問題になるのがサイズです。
EK43は一言で言うとでかいです。
身長が低い方、特に女性の方の場合、届かないと言うことがよくあります。
その場合はショートポッパーバージョンにするか、ショートサイズのEK43Sを使用してください。
海外ではEK43ステップなる箱があって、それに乗ってコーヒーをポッパーに入れるなんてこともやってるらしいですよ。
デリケートなグラインダーであることを理解する
前に書きましたが、設計された時とグラインダーの使用のされ方が大きく変わりました。
そもそもEK43は、ショップグラインダーとして、特にコーヒーショップの挽き売り用のグラインダーとして設計されています。
そのため何度も回数を使用するというより、ずっと電源をONにしておいて長い時間コーヒー挽けるように設計されています。
そのため、最近の一杯ごとに細かく挽き目を調整して、電源のON/OFFを連続して使用するのには適していません。
なので、スイッチの不良や、シェアプレートの破損が頻発する可能性があります。
が、メーカーに言えば交換してくれますし、気合いを入れれば自分で交換することもできます。
重要なのはそうなった場合でも大丈夫なようにバックアップのグラインダーを用意しておくことです。
修理自体は1週間もかからないと思いますので、その期間だけどうやって耐えるかを予め考えておく必要があります。
エスプレッソで使用する場合は工夫が必要
出典 : www.perfectdailygrind.com
またエスプレッソグラインダーとして使用する場合でも工夫がいります。
それはコーヒーの吐出口、スパウトが、エスプレッソのポルターフィルターに適していないからです。
写真のような受けをポルターフィルター側につけるか、一度カップにコーヒーを受けてポルターフィルターに出て移すかどちらかの方法で行う必要があります。
ちなみにメーカー公式のグッズはありません。
EK43の取説
地味に入手が難しいEK43の取扱説明書。本家のマールクーニックのサイトに落ちています。ただ国内特別な注意事項もあると思うので、メーカーにご確認くださいね!
EK43の取扱説明書はこちら(英語です)
EK43 Allround Shop grinder | Mahlkönig (mahlkoenig.com)
価格は?
定価は、50万円以上
定価は55万円だそうです。EK43Sでも同じ価格のようです。
やはり通常のグラインダーと比べても一段上と言った感じでしょうか。
しかしこれまで紹介した機能やこのディスク刃、そして最高のコーヒーの香りを考えたら、一流を目指すなら買わないという選択肢はないですよね。
高いけどその価値がある、グラインダー「EK43/EK43S」だと思います。
ちなみに楽天市場で買うこともできます。クレジットカードで買えるものメリットありますよね
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