人気のコーヒーカップを作っている陶器作家とは?世界の陶器作家まとめ

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コーヒーカップを作り上げるために必要な素材や技法だけでなく、人気のコーヒーカップを作っている陶芸家をまとめています。

コーヒーカップの素材の違いとは

コーヒーカップの素材には、詳しくは3種類あります。陶器、炻器(せっき)、磁器です。いずれも粘土から作られますが粘土が形成される環境は様々なので、その成分によって吸水性、透光性、硬度、装飾性に違いがあります。
 

コーヒーカップの素材「陶器」とは

陶器とは歴史的に一番古くから作られています。釉薬により吸水性を低く保てるようコントロールします。透光性はなく硬度も低く壊れやすいですが、地域によって多種多様で日常づかいの食器に多用されています。
 

コーヒーカップの素材の違い「磁器」とは

磁器は中国では3世紀の三国時代には青磁が生産されていました。主に景徳鎮で生産された白い地の高級磁器がヨーロッパに広まったのは15世紀以降でした。吸水性ゼロ、透光性と硬度にすぐれ装飾性も高く、現在でも高級食器の代名詞です。
 

コーヒーカップの素材「炻器」とは

炻器は吸水性と透光性はゼロですが、硬度と装飾性は低いという陶器と磁器の中間の性質を持っています。英語でストーンウェアの訳語ですが、磁器ではないという理由で陶器の一種に分類されることがあります。

陶器と磁器の違いとは

陶磁器、と一言で表されることも多いですが、陶器と磁器は違うものです。「陶器は土もの磁器は石もの」と言われるように、陶器が多少の水を通し温もりある手触りなのに対し、磁器は白くなめらかで硬質です。その大きな違いは原料となる粘土の成分です。

 

陶器とは

陶器に適した粘土は、世界中さまざまな場所で採取されます。また焼成温度は800度で素焼き後に1200度前後で焼成します。完成後は洗ったあとによく乾かすことが必須になります。

磁器とは

磁器に適した粘土は陶石とも言われ、ガラスを形成する鉱石である珪石と長石の比率が高い白色のものに限られるため、日本でも数カ所でしか採取できません。焼成温度は約700度の低温で素焼き後、さらに高温の1300~1400度前後で焼成します。完成後は手入れがほとんど不要になります。

焼き物の主な装飾技法とは

焼き物はただ焼くだけでなく様々な手法と技術を使って出来ています。ここで普段の焼き物に使われる主な装飾技法をご紹介します。

粉引(こひき)

粉引とは、もともとは15~16世紀に李氏朝鮮から日本に伝わった白い陶器のことを指しました。技法としては、素地全体にゆるい白化粧土をかけ、さらに透明な釉薬をかけて焼成すると、地の色がわずかに透け、まるで不器用に白粉をはたいたようにできあがります。柔和で温かみのある表情を求める装飾です。

刷毛目(はけめ)

素地に刷毛で白化粧土を塗り、透明な釉薬をかけて焼成したもので、15~16世紀に李氏朝鮮で使われていた技法です。粉引のように水分の多い白化粧土を全体に使うと、素地によっては、焼成の過程で破損しやすくなるのを防ぐために考案され、また刷毛目が模様としても優れている装飾です。
 

掻き落とし

半ば乾燥させた素地に手早く化粧土をかけて乾かし、文様や線などの下絵をつけます。釘やカンナなどの工具で、下絵に沿って表面の化粧土を掻き落とすことで、焼成後に模様を浮かび上がらせる技法です。素地と化粧土は色の対比がでる組み合わせが望ましく、汎用性が高い装飾です。

三島手(みしまで)

黒味のある素地に、細かく連続した縄状の彫りを入れたり、紋印を押すなどの模様付けをした後に、白化粧土をかけて焼成する技法です。15世紀、李氏朝鮮から日本に渡った器で高麗茶碗と呼ばれるもので、細かい模様の浮き出た様子が三嶋大社の発行する「三嶋暦」に似ていることから三島手、暦手と呼ばれ、親しまれてきました。

櫛目

歯の数が多くない和櫛のような形の工具で、素焼き前の素地に、細く均等な間隔の縞模様をつける装飾です。有史以来、土器にも使われた汎用的な技法で、器の内側に入れた例で代表的なものがすり鉢です。また、器の外側に同心円状に入れるなど、そのバリエーションは多彩です。

飛鉋

黒味のある素焼き前の素地に白化粧土をかけて乾かし、ろくろに乗せて回しながら工具で掻き取る技法です。回転している素地に弾力性のある鉋(かんな)やへらの先をあてると、等間隔で素地の表面がえぐられてゆきます。日本でも九州をはじめ全国に見られる装飾で、飛鉋(とびかんな)、踊りベラなどとも呼ばれます。

陶器と磁器はどちらが多い?

陶磁器について世界中で共通しているのは、日用品としても工芸品としても白く薄く硬度が高いものほど価値が高いという、磁器の優位性です。
中国や日本で作られた磁器の魅力は、ヨーロッパで19世紀に「ボーンチャイナ」を生み出す原動力になりました。一方で、その地域にしか作れない独自性による、量産できない価値という視点もあります。
日本中で50種類以上ある多彩な焼き物をはじめ、世界各所で古くから伝わる技法による手造りの陶器は、廃れることなく現在でも生産されています。ちなみに、平成28年経済センサスによれば、日本で最も陶磁器の生産量が多いのは岐阜県で、なんと全国の食器の50%を占めています。次いで佐賀県、長崎県の順です。しかし、岐阜県は「瀬戸物」と総称される「美濃焼」「織部焼」をはじめ数多くの種類を含む陶器と、磁器の「多治見焼」両方の産地です。佐賀県は磁器の「有田焼」「伊万里焼」の産地、長崎県も磁器の「波佐見焼」の産地です。磁器の産地は限られるため、全体としては、意外に陶器の方がやや多いといえるでしょう。

有名な陶芸家

それではここからは数々の有名な陶芸を作り上げてきた陶芸家をご紹介していきます。

藤井錦彩(ふじい きんさい)

佐賀県西松浦郡有田町は日本における磁器発祥の地で、有田焼は世界中の人々を魅了してきました。藤井錦彩は1976年有田町生まれの陶芸作家です。有田焼伝統の、手ロクロによる手造りと手描きによる絵付けの製法を守る一方、現代的な感覚を取り入れた作品の数々が多数の栄えある賞に輝き、代表的な技法に「天目釉彩」があります。
鎌倉時代に宋代の中国に渡った禅僧が、浙江省天目山の寺院から黒い茶碗を持ち帰り、日本で「天目」と呼ばれ珍重されるようになります。深い黒色が幽玄な世界を思わせる天目の磁肌に、艶消しの金彩とプラチナを焼付けた「天目釉彩」のコーヒーカップは、贅沢な一品。販売価格は4,000円~10,000円です。

桑田卓郎(くわたたくろう)

工芸と現代アートをつなぐセラミック・アーティストとして活躍する桑田卓郎です。カラフルでマットな化粧土に、意表をつく鮮烈な色彩の釉薬や金、プラチナで立体的に装飾された「点滴 手付碗」や「“汗”をかく茶碗」などのアート作品が有名ですが、日常生活に使うためのカラフルなカップなど、モダンな陶磁器も数多く制作してきました。
1981年広島県に生まれ、2001年に京都嵯峨芸術大学短期大学部を卒業、2002年に同郷の陶芸家、財満進氏に師事します。2006年に「益子陶芸展」の最高賞を受賞し注目され、2007年に多治見市陶磁器意匠研究所を修了後、美濃焼の発祥地である岐阜県土岐市の工房で作品制作を行っています。

五味謙二(ごみけんじ)

五味謙二は1978年生まれの若手陶芸家です。長野県茅野市に生まれ、早稲田大学人間科学部を卒業後、沖縄県那覇市で壺屋焼の技術を修業します。2003年から美濃焼や織部焼など陶磁器の発祥地として知られる岐阜県土岐市にて作品を制作しています。代表作である「彩土器」と呼ばれるオブジェのシリーズは、有機的でどこか観る人に笑いかけるかのような表情と、土器特有の温かさを感じさせます。
そんな「彩土器」シリーズの1点は2011年菊池ビエンナーレで奨励賞、続けて2013年には優秀賞を受賞。2012年の作品「Covered Vessel no. 7」がロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館に収蔵され、さらに2016年の第10回国際陶磁器展美濃の陶芸部門でグランプリを受賞するなど、目覚ましい活躍ぶりで話題を呼んでいます。

アトリエプアプ

尼崎の陶芸作家・今西敬之氏の個人工房「ATELIER Peu à Peu(アトリエ・プアプ)」は、一つずつ手づくりで陶器を制作しています。京都・清水焼窯元で10年間修業した今西氏は、生活にとけ込む上質な器づくりを目指して2013年から地元の尼崎にて独立。カントリー調を意識した、和モダンのスタイルの洋食器のラインナップが中心です。
代表的な「カケラ」シリーズは、丸みを帯びた形のカップに、英文字で刻まれた西洋の著名人の名言が一部分、石板のカケラとしてついているユニークな食器シリーズです。シンプルで温かみのあるコーヒーカップの販売価格は、2,000円~3,000円といった価格帯です。
 

ニコラス・モス

ニコラス・モスは、1976年にアイルランドで創業された陶器ブランドです。幼い頃から陶芸を愛するアイルランド生まれのニコラス・モス氏と、アメリカ人で園芸家のスーザン・モス夫妻は、英国のハーロウと日本の山口県萩市で陶芸を学び、アイルランド中部・キルケニー州のベネッツブリッジ村に陶芸工房をつくったのが始まりです。
彼らが作る陶器は、温かみのあるベージュ地に白い釉薬がかけられ、カラフルな植物や動物の模様が鮮やかな、ふだん使いにふさわしいテーブルウェアの数々。18世紀から行われていた方法で、スポンジのスタンプで一つ一つ手仕事で絵付けしているのが特徴です。

松井勝彦(まついかつひこ)

1955年生まれの福井県の陶芸家です。大学を中退し欧米を歴訪、その後、1981年に沖縄県の読谷で金城明光氏について修業し、粘土の配合や窯さえ自らつくる陶芸に魅了されます。故郷・福井県に戻ると伝統工芸の越前焼を改めて学び、1998年に「金津創作の森」のレジデント作家として活動を開始しました。
自身が越前海岸でひろった岩石を使って独自に作る釉薬は鉄分を多く含む「鉄釉」で、「鉄釉縞マグカップ」はトレードマークともいえる黒や青の金属光をもつ独特の魅力を生み出しています。

作家によって異なる製造方法

いかがでしたか?作家によって製造手法が変わってくるだけでなく、コーヒーカップの素材まで配慮して作られています。またここには記載していませんが、まだまだ数多くの陶芸家の方がたくさんいます。奥深い陶芸と味わい深いコーヒーカップをこれからも探求していきましょう。
 

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