日本のコーヒーは美味しいのか。~コーヒー業界活動について

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私たちは日本のコーヒーは美味しくない責任は、今のコーヒー業界にあると思っています。
それはこれまでコーヒーを売ることを主眼を置いていたため、本当に美味しいコーヒーがなんなのかを、消費者、日本国民に伝えてこなかったことにつきます。

正しいコーヒーの知識が広まっていないのは、業界の責任

美味しいコーヒーの定義がなにか知っていますか?普通は嗜好品なんだからそんなの定義できるわけないや、俺が淹れるコーヒーが美味しいコーヒーだと言った答えが返ってくると思いますが、そもそも、日本のコーヒー業界の中で共通認識になっていないことが問題の始まりです。

ヨーロッパでは美味しいコーヒーは1960年代に定義されています。
その定義は「適正なコーヒーの量、お湯の量を使用したときに、コーヒーの抽出率が18パーセントから22パーセントに入るコーヒー」です。
この考え方が今でも踏襲されています。

この定義は業界が中心となり大規模な味覚調査を行なった結果、算出されてたものです。

出典 : mountaincity.com

美味しさを数値がすることは難しいことですが、少なくとも日本以外の国ではこの定義に則ってコーヒーが議論されています。

残念ながら日本ではこのような抽出定義的な話は一般的になっていません。コーヒー後進国と言っても過言ではないと思います。

エスプレッソの定義もグーグル任せ

今の日本はそもそもの部分が明らかに抜けています。そもそもコーヒーの定義ってなんなのでしょうか?エスプレッソってなんなのでしょうか。それらの定義は残念ながら日本語ではありません。
一般の人がエスプレッソを知りたいと思っても、知ることができるのはコーヒーのプロではない人が書いたウェブ上の情報だけです。
どのサイトも英語の定義にある9気圧や、25から30秒という抽出時間、液量の定義は出てきません。

例え、英語の定義を翻訳して個人サイトで書いたとしても、グーグルはそれを信用しません。なぜなら大多数のページで書かれていないためです。

これはグーグルが悪いのではなく、定義をはっきりさせていない業界の責任で、定義がなければ正しい抽出の議論もできるわけもなく、いつまでたっても日本人にとってエスプレッソは量の少ない苦い液体なのです。

現在の業界団体の目的は、未だに「コーヒーの普及」が目的

日本にはコーヒー組合は数多あります。大きな組織としては「全日本コーヒー組合」と「SCAJ」があります。
彼らの目的はコーヒーの普及とあります。組合はコーヒーを販売するロースターで構成されていますので、普及させようというのはよくわかります。結果としてこの活動のおかげで日本は世界でも有数のコーヒー消費国になりました。今やお茶くらいの飲用杯数があると言われています。
しかしこれからもコーヒーの普及を目的として活動する組織が必要でしょうか。

全日本コーヒー組合
http://coffee.ajca.or.jp/

ロースターが中心となった業界団体

先程もいいましたが、これらの業界団体の多くはロースター、コーヒーを販売する人々で構成されています。彼らの儲けになることはもちろんコーヒーをたくさん消費させることです。
さらにいうと一杯で何グラムのコーヒーを使わせるのかが、彼らの生命線です。

重要なことは、美味しいコーヒーを提供することが売上に直結するわけではなく、一杯あたりのコーヒーグラム数が多い方が儲かるのです。
美味しいコーヒーを作るためには適切なコーヒーの量が必要です。これは少なすぎても多すぎてもダメなのです。(1リットルあたり55グラムから60グラム)

しかしこの適正なコーヒー量ではないコーヒーは非常に多いです。これはコーヒーをケチっているだけでなく、無駄に多いコーヒーを使わせているケースもあります。

コーヒーの量と水の量が適正でないコーヒーは、どんなにバリスタがいれたとしても美味しいコーヒーにはなりません。
これは好みのレベルの話ではなく、統計上美味しいと感じるレベルに入っていないという意味であり、先程紹介した美味しいコーヒーの定義のコーヒーになっていないということです。

薬機法違反事例集のような広報誌

残念ながらいまの全日本コーヒー協会は先進的な会とは言えないと思われます。その最たるものが広報誌です。
あたかもコーヒーには薬効があり、健康になると言わんばかりの記事ばかり投稿されています。
監修はもちろん付いていますが、どれも学会で議論されているレベルの話で、全国規模の業界団体誌が載せるべき内容ではないと感じます。
もはや、コーヒーの普及という大義ではなく次のステップに移るべきタイミングにあると思います。

コーヒーと健康 (全日本コーヒー組合)

コーヒーと健康


全日本コーヒー組合が運営するサイト内の、「コーヒーと健康」というサイトです。
「特定の病気が予防できる?」といったかなり危ない表現で誘導しています。これが大きな業界団体が運営するサイトなのだろうかと目を疑います。

世界のコーヒー業界は?

コーヒー業界として最大の組織「SCA」

世界のコーヒー団体を見渡すといろんな団体があります。コーヒーの生産者側の団体や、特定のコーヒーに特化した団体などさまざまです。その中でも消費国である日本の見本となる団体はSCA(Spiciality coffee association)だと思います。
SCAは、欧米でのコーヒー関係企業の協同団体です。

SCAの目的はスペシャリティーコーヒーの普及のための、”教育”と”調査”

CAの結成は歴史は浅く、まだ3年ほどです。その理由は元々SCAEとSCAAというヨーロッパとアメリカの団体に分かれていて、それらがSCAとして再結成されたためです。
SCAの目的は明確で、コーヒーに関する教育とその研究調査です。

教育の内容は多岐に渡ります。各用語の定義づけに始まり、適正なコーヒーの抽出技術、ロースティング技術、コーヒーの管理方法などなど、ロースターだけに留まらず、コーヒーを淹れているバリスタやコーヒー器具メーカーにも関係する教育プログラムが用意されています。
また研究についてもコーヒーと健康に関するものだけでなく、コーヒーの消費動向と生産量の未来予測やコーヒーに関する嗜好性の変化の有無など、コーヒー業界に身を置くものであれば気になるポイントの最新状況を押さえています。

SCA 研究調査へのリンク
https://sca.coffee/availableresearch/

コーヒーショップの世界的な動向やコーヒーの保存や抽出に関する調査を実施しています。コーヒーに関心を持つ方であれば、みんなが気になる内容だと思います。

SCAは、クオリティの向上、継続的な市場成長を図っている

私は、これらから感じ取れるメッセージとしては2つあります。一点はコーヒー業界全体のコーヒーのクオリティの向上、もう一点はコーヒー業界のサスティナブルな成長です。

利潤を追求するだけでなく、一杯のコーヒーのクオリティを業界全体としては高めることで、消費者の満足度を高め、コーヒー業界全体として成長していかなければならないという決意のようなものを感じます。

日本にもSCAJという組織はありますが、実施ていることは競技会の実施や、展示会の実施などのため、全く役割の違う団体になっています。

残念ながら現在日本にはSCAのような組織は存在していません。

バリスタの能力向上を目指した団体は存在する

バリスタハッスルは、バリスタの質向上を目的とした、オンラインラーニングの提供しています。もともと発祥は海外ですが、日本でも1年ほど前からサービスを開始しています。
こんな動きがもっと加速すればよいと思います。

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今後、コーヒー業界、日本のコーヒー事情はどうなるか?

世界的な消費拡大に伴う、コーヒー獲得合戦

ここ5年間で世界的にコーヒーの消費量は急激に増加する可能性があります。
ドリップやバリスタの世界チャンピオンを排出し始めたアジア諸国ではコンビニコーヒーが一般的になり始めています。今後コーヒーは市民権を得て、消費が拡大することが予想されます。また今は平均年間一杯しか飲んでいない中国で、消費が加速度的に増加すれば、世界的な需要増加が見込まれます。

一方、生産量は落ちる可能性も

逆に生産は減少するリスクをはらんでいます。主な理由は温暖化です。コーヒーは赤道直下の高地で栽培されています。また温度の差が激しい方が良い味のコーヒー豆ができると言われています。今後温暖化が加速すると生産場所が減少して、生産が減る可能性があります。
世界的な需要過多になる可能性があります。

”超一級品”と、”三級品”の二極化

その時に日本のコーヒーはどうなっているかというと二極化している思います。
1つは超高級です。よく言われるエスメラルダス農園のゲイシャ品種のように高級ブランドコーヒーが今後もできると思います。そういった一部の方しか味わえないコーヒーの取引が増えると思います。
それでは大半の方が飲むコーヒーはどうなるかというと、現在の品質のコーヒーより悪いコーヒーになると思います。
現在のロースター、コーヒー業界の論理ですと、味よりも消費量やコストが優先されます。そうすると一杯のコーヒーのクオリティは高まりません。
消費量が減らなければ、日本のコーヒー業界的には問題ないかもしれません。

しかし、世界的にはそうは見えないはずです。日本人はコーヒーの味がわからないのであれば、三級品でも問題ないだろうとなる可能性あります。生産元は出荷先を選ぶことができるようになるため、味がわかり、価値に対して対価を払ってくれる国に売ります。

その結果として、日本のコーヒーのクオリティは下がり、最終的には消費量は減少に転じると考えられます。

最後に、日本のコーヒーをもっと美味しくするためには

日本のコーヒー文化は独自なものです。
家庭でハンドドリップやドリップバックがこんなに普及している国は珍しいですし、40年以上から喫茶店文化があり、お茶の文化があるのにもかかわらず世界3位の消費国である日本。
ハンドドリップの文化は、ブルーボトルコーヒーがそうであるように、いま欧米諸国でトレンドになりつつあります。

しかし10年後は世界的な状況が明らかに変化します。コーヒーは貴重な製品になります。そうなったとしても日本で多くの人がコーヒーを飲んでいるかは、いまその一杯のコーヒーを美味しくするための活動をコーヒー業界全体として、どれだけして実施していくかだと思っています。