ステンレスフィルターとネルコーヒーとペーパードリップの3つは、いわゆる透過式のドリップコーヒーです。
淹れ方は似ているけれど、それぞれに特徴があり、味も変わってきます。
よく見るから、なんとなくペーパードリップを使っていたという人もいるでしょう。そんな人も、その特徴を知れば、よりコーヒーを楽しめます。
あるいは、ステンレスフィルターやネルコーヒーに興味を持ったなら、新しい淹れ方にも挑戦してみてはどうでしょうか。
ステンレス金属フィルター
ステンレスフィルターについては、そういうものがあるのは知っているけれど、その特徴は正直よくわからないという人が多いのではないでしょうか。
もしかしたら、金属で抽出するということに、いささか抵抗を感じる人もいるかもしれません。しかし、そのような心配の必要はなく、淹れ方の見た目が似ているペーパーフィルターとは違った味を楽しむことができます。
ステンレス金属フィルターの味の特徴
ステンレスフィルターでは、オイル分がしっかり抽出させることによって醸し出される、風味豊かな味わいを楽しむことができます。
コーヒーオイルは、抽出されたコーヒーの香味を高める効果があります。
また、コーヒーの味がくっきりと出てくるのも特徴で、個性的な味のコーヒーを使うことで、その個性を存分に楽しむこともできます。
ステンレス金属フィルターのメリットとデメリット
メリット
- ゴミがでない
ペーパードリップは、1回の抽出ごとに紙を使う必要があるため、ゴミが出ます。しかし、ステンレスフィルターならば、半永久的に何度も使うことができるので、ゴミが出ません。
- 買い忘れの心配もない
ペーパードリップでは、ついつい紙を切らしてしまうこともあります。ステンレスフィルターには、もちろんそんな心配は必要ありません。
- 比較的手入れの手間が少ない
この後紹介するネルドリップと比べ、手入れが比較的簡単です。また、ペーパードリップでも、ドリッパーを洗う手間も考えた場合、ステンレスフィルターを洗う手間は、手間と考える必要はないかもしれません。
デメリット
- 洗う手間がある
先ほど、あまり洗う作業を手間と考える必要はあまりないと言いましたが、やはり、使用後は内側にコーヒー粉がへばりついたり、メッシュのすき間をしっかり洗う必要があったりと、少し丁寧な作業が必要であることは事実です。
- 多少値が張る
他のドリッパーに比べ、ステンレスフィルターは比較的お財布には優しくないです。高いものは1万円近くするものがあるほどです。
製品紹介
ステンレスフィルターは、大きくメッシュの入り方の違いで3つに分類することができます。台形型か円錐型かの違いもありますが、メッシュの入り方の違いは、ステンレスフィルター独自のものなので、今回はこちらに焦点を当てます。
CORES コレス ドリッパー ゴールデンフィルター 縦型スリット
まずは、ステンレスフィルターでは名の知れた「CORES(コレス)」から、縦型スリットタイプのフィルターをご紹介します。
ホルダーとフィルターが別々で販売されているものも多いなか、こちらはセットで売られており、使い勝手がいいです。
コレス ドリッパー ゴールドフィルター コーヒー 2-4カップ用 C245 C245
デロンギ ヘリンボーン ゴールデンフィルター 杉綾模様タイプ
杉綾模様のステンレスフィルターは、比較的湯の抜けかたがゆっくりとしています。細かいメッシュなので、すき間にオイル分がたまりやすくなっています。少し丁寧に洗うことをお勧めします。
ここで紹介するのは、デロンギの金属フィルターです。
デロンギ ヘリンボーン ゴールドフィルター 【2-6杯用】 CM-GFS
E-PRANCE コーヒードリッパー 丸形パンチ
フィルター表面に、丸いぽつぽつの穴が開いています。こちらも、縦型スリットタイプと同様、湯の抜けかたがスムーズで、抽出の速度は速めです。
縦型スリットよりも目詰まりがしやすいため、しっかり洗うことをお勧めします。
このタイプは、E-PRANCEから。
E-PRANCE コーヒードリッパー ステンレスフィルター 蜂窩状 2層メッシュ ペーパーフィルター不要 1~4杯用 (シルバー)
ネルコーヒー
手入れが面倒、との代名詞が独り歩きして、家庭で使われることが少ないネルドリップ。しかし、長い歴史をもつネルドリップには、片や根強いファンがいることもまた事実です。
ちなみに、ネルドリップの「ネル」とは、フランネルやリンネルの「ネル」を意味します。
この淹れ方にはどんな特徴があるのでしょうか。
ネルコーヒーの味の特徴
ネルドリップもコーヒーオイルが適度に抽出されます。それにより豊かな風味を楽しむことができます。
また、口当たりがなめらかで、とろりとした飲み口は、ほかの淹れ方では味わえない、布による抽出ならではの味わいです。
ネルは、使い込むことによって抽出時間が変わってきます。そのことによるかすかな味の変化を楽しむこともまた、ネルドリップならではです。
ネルコーヒーのメリットとデメリット
メリット
- 技量が味に出やすい
ネルドリップは、淹れる人によって微細な味の変化があります。同じ人がいれる場合でも、経験を積むことによる技量の変化は、味に表れやすいです。それゆえに、ドリップの時間がいつもに増して楽しみになります。
- 愛着が湧く
ネルドリップは確かに手間がかかります。しかし、手間をかけながら、ネルの色合いが移ろっていくのを見ることで、愛着が湧いてきます。淹れる時間を、もっとも豊かにしてくれるドリップ方法であると言ってもいいでしょう。
デメリット
- 購入後、すぐには始められない
新品のネルには糊がついています。また、新品特有のにおいがあるので、そのまま使用することはできません。そこで、初めて使う前には、煮沸消毒が必要になります。
コーヒー粉をいれて沸騰させたお湯の中に、ネルを10分ほど浸けて完了です。
- 手入れに手間がかかる
これはやはり避けては通れません。使用後に水に浸す必要があるなど、ほかの淹れ方に比べて手間がかかるのは事実です。
これは気持ちの持ちようなのですが、「手間がかかる」と考えず、美味しいコーヒーのために「手間をかける」と考えてはどうでしょう。
製品紹介
ドリッパーをホルダーにセットして、ペーパードリップのような抽出をするための機具もありますが、ここでは、片手にポット、片手にネルをはめたドリッパーをもった状態でのドリップをお勧めします。
両手を使うことで集中力もあがり、丁寧に入れている、という意識も強くなり、一杯一杯に対する愛着がひとしおです。
HARIO (ハリオ) ネルドリップ ろか器 ウッドネック コーヒードリップ 1~2人用 DPW-1用 DFN-1
ペーパードリップ
家庭でよく行われる、ポピュラーな淹れ方です。
ただ何となくよく見るから、という理由で始めた方もいるかもしれません。しかし、手軽にできるというだけでなく、ちゃんとこの淹れ方ならではの特徴もあるんです。
ペーパードリップの味の特徴
抽出にはペーパーフィルターが用いられるため、そのほか2つと違い、コーヒーオイルが紙に吸収されてしまいます。そのために、取り除かれてしまっている香味があります。
しかし、これは逆に、すっきりとした味わいの出来上がりになるということでもあります。
また、ペーパードリップはポピュラーな淹れ方であるため、各社から独自の形状のドリッパーが開発されています。そして、この形状の違いが味に変化を与えます。
メリットとデメリット
メリット
- すっきりとした味わいになる
ドリッパーの形で多少の違いはありますが、総じて、紙を使用しているために、ペーパードリップはすっきりした味わいになります。あまり、重たい味わいのものを好まない人にはお勧めです。
- 清掃が簡単
ペーパードリップのドリッパーは、ステンレス金属フィルターのように細かいところが無いので、掃除が簡単です。また、抽出後のコーヒー粉も、ペーパーフィルターと一緒に捨てられるので、処理に悩まされることもありません。
デメリット
- オイル感が無くなってしまう
ペーパードリップでは、コーヒーの香味を左右するコーヒーオイルが紙に吸収されてしまいます。
- ゴミが出る
一回ごとにゴミが出てしまうのもデメリットです。それに、ペーパーフィルターを切らしてしまうと、その時はコーヒーが無くなってしまいます。
製品紹介
ここでは、人気もあり、高性能なドリッパーを、簡単な特徴の説明と共に紹介していきます。
メリタ式
台形型で、底の穴は1つです。
二投目で目的の量のお湯をすべて注ぐという淹れ方のため、何度やっても味に変化が出にくいのが特徴です。
カリタ式(ウェーブ)
独特の形状をしたペーパーフィルターがまず特徴的です。
ウェーブがあることで、ドリッパーとフィルターの接地面が少なくなっています。このため、むらのない速やかな抽出が可能になっています。また、底面が平らになっているため、お湯が均一に行き渡りやすく、味にブレが出にくいです。
【セット買い】 カリタ コーヒードリッパー 2~4人用 ウェーブ 銅製 WDC-185+専用フィルターセット
ハリオ式
ウェーブ型の長いリブ(ドリッパー内側にある凹凸)が幾本もあるのが特徴です。
淹れ方が変われば、それが味に反映されやすいです。早く注げば、すっきりとした味わいになり、ゆっくり淹れば、それに応じてしっかりとした味わいのものができます。
しかし、逆に考えれば、味にブレが出やすいともいえるでしょう。
HARIO (ハリオ) V60 01 透過 コーヒードリッパー クリア コーヒードリップ 1~2杯用 VD-01T
コーノ式
ドリッパーの内側が、二層構造になっているのが特徴です。
上部にリブがついていないのは、その部分で、コーヒーの雑味が下に落ちるのを防ぐためです。そして、上部で雑味を取り除いたら、下部にはリブを付けて、コーヒーの成分をしっかり抽出します。
こんな人にはこれがおすすめ
ネルコーヒーは「とことんこだわりたい人」におすすめ
ある意味、淹れる時間もコーヒーを嗜むことの重要な要素です。そしてこの時間を存分に味わえるのが、ネルドリップです。
淹れる時間も楽しむことが出来て、自分の味を追求したいという人にとっては、特におすすめです。淹れ方がうまくなれば、しっかり味に反映されるので、やればやるだけ楽しくなります。
ステンレス金属フィルターは「手軽に本格派を求める人」におすすめ
コーヒーオイルなるものがしっかり楽しみたい。しかし、手間がかかりすぎるのはちょっと、という人には、ステンレスフィルターがおすすめです。
コーヒーオイルがあるのなんて知らなくて、なんとなくペーパーフィルターを使っていた、という人は、この機会にステンレスフィルターを使ってみてはどうでしょう。
ペーパードリップは「ハンドドリップを始めてみたい人」におすすめ
インスタントじゃなく自分でコーヒーを淹れたい、と思い立ったら、まずはペーパードリップです。
ステンレスフィルターは価格が高設定のため、はじめに手を出すのは気が引けるところです。ネルドリップも初心者には少し敷居が高いかもしれません。
安いからと言って、底が浅いわけではありません。見てきたように、様々な種類のドリッパーがあるので、ペーパードリップだけでもいろんなバリエーションの味が楽しめます。
まとめ
ペーパードリップは確かに魅力的です。しかし、ただ何となくペーパードリップをやっていた、というのではもったいないです。それぞれの特徴を知ったならば、この機会に、新しい道を開拓してみるのはどうでしょうか。